この度の災害では子どもを育てている母親や乳幼児も例外なく困難な生活を強いられています。被災生活が長期化し不便な状況が続く中で育児を続けておられるお母さんたち、そして頑張っている子どもたちにエールを送るとともに、困難な状況の中で活動してくださる援助者の方を支援し,情報をお伝えします。 ライフラインが不十分で、感染症のリスクも高くなる災害時・緊急時にこそ人工栄養は適切に行われなければなりません。これまでの災害では、援助物資として調整液状乳(液体人工乳、液体ミルク)や使い捨て哺乳びんといった、従来日本では使用されていなかった物資が海外から届いています。これらは、乳幼児栄養についての知識を持った保健医療従事者の管理の下で、適切な製品を、本当に必要な乳児だけに適切に配布するシステムがあってはじめて効果的に利用できます(参考資料1)。災害時の混乱の中でこのようなシステムを構築するのは現実的には困難かもしれません。それでも援助者が原則を念頭において行動することで、健康リスクを最小限にできるかもしれません。 調整液状乳と使い捨て哺乳びんには以下のような特徴と、使用にあたっての注意点があります。 【調整液状乳の特徴と注意点】
【使い捨て哺乳びんの特徴と注意点】
提案 - JALCは災害時に調整液状乳と使い捨て哺乳びんが適切に使用されるよう以下を提案します
【参考情報】(参考資料1) (参考資料1) WHOやUNICEF、国連食糧計画といった国連組織と各国のNPOから成るIFEコアグループが作成した「災害時における乳幼児の栄養〜災害救援スタッフと管理者のための活動の手引き(2010追補)」には以下のことが書かれています。
援助者は、たとえ善意からであっても一律に人工乳や哺乳びんを配布することにはどのようなリスクがあるかを知り、本当に必要な乳幼児に援助物資が行き渡るよう配慮する必要があります。 参考資料 1) IFEコアグループ:災害時における乳幼児の栄養〜災害救援スタッフと管理者のための活動の手引き, 2010 追補付き https://www.jalc-net.jp/dl/OpsG_Japanese_Screen.pdf 2) 厚生労働省 母子健康手帳(任意様式) http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/n2016.pdf. p83. 3) 厚生労働省/食品安全部/監視安全課/食品安全係. 乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドライ ンについて(2007).概要(パンフレット)、仮訳(全文) http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/qa/070604-1.html 4) カップを使った授乳方法 https://www.jalc-net.jp/hisai/cupfeeding2005.pdf 5) WHO:母乳代用品のマーケティングに関する国際規準(和訳) https://www.jalc-net.jp/dl/International_code.pdf |
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初版:2011年6月8日掲載