Q3:

私(お母さん)は現在、7か月の乳児に母乳をあげていますが、新型インフルエンザにかかってしまいました。医師に「母乳は搾って、他の人に頼んあげてもらいなさい」と言われましたが、頼む人がいません。どうしたらいいでしょうか?

A3:
 前述のCDCは、出産前後の場合と同様に、退院して家庭で母乳をあげているお母さんと赤ちゃんに対しても、できればおむつ替えや授乳などの赤ちゃんの直接のお世話を症状のない人に頼み、母乳を搾って赤ちゃんに飲ませてもらうことを勧めています(6)。日本の厚生労働省は、お母さんが一時的に直接授乳できないときは、搾った母乳を症状のない家族などに頼んであげてもらうことが可能であること、やむをえず直接授乳する場合は、服を着替えたりマスクを着用するなどして、できるだけ感染の危険が低い状態で授乳するように提案しています(1)。その一方で、世界保健機関(WHO)や英国をはじめとする他の国は、搾乳して他の人があげることを第一選択とはしておらず、赤ちゃんとお母さんを離さずに、手洗いなどの感染予防策をとりながら、直接母乳をあげ続ける方針を推奨しています(7-12)。
 高熱と倦怠感のあるお母さんが慣れない搾乳を行うことは大変かもしれませんし、赤ちゃんのお世話をする他の家族がいない場合もあると考えられますので、この医師の勧める方法を実行するのは実際には難しいかもしれません。
現段階では、お母さんと赤ちゃんを離すことによる感染予防効果についてははっきりわかっていません。また、お世話をしてもらう他の家族が既に感染している可能性も十分考えられます。4)にあげるような感染予防の対策に十分注意しながら、お母さんの病状や各家庭の状況によって、ご自分にあった方法をとるとよいでしょう。
 
 現段階では、新型インフルエンザについての情報は限られていますが、「赤ちゃんへの感染を予防しながら、赤ちゃんが母乳による恩恵を最大限に受けることができる」ための最善の方法が各国で検討されています。10月13日付けで発表されたアメリカ小児科学会のニュースレター(14)では、「インフルエンザの感染を防止するという事だけを考えると、お母さんが抗インフルエンザ薬を内服するとともに赤ちゃんと母親を完全に隔離することが最も効果的かもしれません。しかし、このことによって母乳育児の成功や母と子のきずなの形成という観点からみると長期的に悪影響を及ぼすことになり、赤ちゃんへの感染を避けることで得られる利益よりも、そのマイナスの影響は大きなものとなるでしょう。」と述べられています。お母さんと赤ちゃんの相互関係や母乳育児がもたらす利益と、重症な感染症のリスクを考慮した上で、適正なバランスがとれるような方策を今後考えていく必要があるでしょう。

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