災害時の母乳育児相談−よく聞かれる質問(FAQ)−   2004年11月 暫定版より
※ FAQにつきましては、転載可。改変はご遠慮ください。


(1) ストレスでおっぱいが止まってしまいました。どうしたらいいのでしょうか?

被災されたことで、通常では思いもよらないようなさまざまな困難にあわれていらっしゃることと思います。そのような中でストレスからおっぱいが止まったように感じて、不安に思っていらっしゃるのですね。母乳育児を続けたいと願われているお母さんの熱意が伝わってきます。
緊張したり不安を感じたりしたとき、お母さんは自分の母乳が「出なくなって」しまったかのように感じることがあります。実際、極度のストレスや恐怖で一時的に母乳の出が悪くなることはあっても、それは一過性のものであることが知られています。
母乳は乳房の中でつくられ、ホルモンによって押し出されるのですが(射乳反射といいます)、極度のストレスが加わると、このホルモンが出にくくなるといわれています。ですから、お母さんがリラックスして授乳できるようになれば、もとのようにたくさん出てきます。赤ちゃんが欲しがるたびに欲しがるだけ、どんどんおっぱいを吸わせるようにしましょう。そうすれば、またもとのようになりますよ。 (『だれでもできる母乳育児』356ページより抜粋)
赤ちゃんが元気で、いつものようにウンチやオシッコが出ていれば大丈夫です。また母乳育児をすることで、お母さんも子どもも心が和み、落ち着くことができます。

(2) バランスの取れた栄養がとれません。母乳の質が心配です。粉ミルクのほうがいい のでしょうか?

バランスの取れた食事ができず、母乳に影響するのではないかと、心配なのですね。栄養たっぷりの母乳をあげたいという、お母さんの赤ちゃんを思う気持ちが伝わってきます。
実際には、お母さんが病気になるほどの、よほどひどい栄養失調になっていない限り、赤ちゃんに必要な栄養が母乳にちゃんと入っているだろうかと心配することはありません。種の保存という役目のある赤ちゃんが生き残るのはとても重要なことなので、自然は母乳に含まれる栄養を保証する特別な配慮をしています。(『だれでもできる母乳育児』361ページより)
  • 母乳には、赤ちゃんが生後6ヵ月間に必要とする適切な量のカロリー、タンパク質、ビタミンと他の栄養素に加え、必要な水分もすべて完璧に含まれています。
  • 母乳は粉ミルクより容易に、そして完全に消化されます。
  • 母乳には多くの免疫物質が含まれ、赤ちゃんを感染から守ってくれます。
お母さんの栄養状態があまりよくなくても、母乳には完全な栄養が含まれていますので、安心して母乳をあげてください。安全な水を確保したり、お湯を沸かしたりできない状況では、粉ミルクを溶かしたり哺乳びんなどを洗ったりすることができないので、粉ミルクを与えるほうがかえって感染症などの危険が増すことになります。お母さんは、できるだけ食べ物や飲み物を確保するようにして、水分を十分に取るようにしてください。そして、体を休めてリラックスして母乳をあげましょう。きっと、お母さんと赤ちゃんの心の栄養にもなりますよ。

(3) 赤ちゃんがよく泣きます。母乳がたりないのではと心配です。

赤ちゃんがよく泣くのは、母乳がたりないからではないかと感じられ、心配なのですね。避難場所で泣かれたりすると、周囲が気になり、どうしていいかわからなくなりますね。
授乳してから少ししかたっていないのにおっぱいを欲しがったり、泣いたりしても、このよ うなことはよくあることです。まず、泣いたら赤ちゃんに母乳をあげてみましょう。それでも泣くようでしたら、母乳がたりないからではなく、赤ちゃんの求めているものがほかにあるのかもしれません。おむつが汚れていないか、暑すぎたり寒すぎたりしていないか、抱っこされたいのではないか、おっぱいを吸いたいだけではないかなど、いろいろ考えられます。(『だれでもできる母乳育児』96ページより抜粋)

母乳がたりているかどうかを知るためには、ぬれたオムツの枚数を調べます。紙おむつなら、1日に5〜6枚しっかりぬれていれば大丈夫です。また、うんちもよく出ていれば十分に栄養がたりている証拠です。そして体重が増え、生き生きして知的な関心を示すようなら、安心です。(同78ページより抜粋)
具合の悪いときや、成長期のときなど、いつもより欲しがる場合もあります。赤ちゃんが欲しがるたびにひんぱんに、またゆっくりと時間をかけておっぱいを吸わせてかまいません。
赤ちゃんは、お母さんが不安に思う気持ちを敏感に感じ取って、泣いたりすることがあります。赤ちゃんは抱いていてもらったり、おっぱいを吸ったりすると安心するものです。お母さん自身もリラックスして、ゆったりした気持ちで母乳をあげてください。

(4) 避難場所で周囲が気になって落ち着いて授乳ができません。何かよい方法はありますか? 

避難場所ではまわりにたくさんの人がいるので、なかなか思うように授乳できず、困っていらっしゃるのですね。授乳するときは、赤ちゃんにおっぱいを含ませる最初の一瞬だけをだれにも見られないようにすればいいのです。いったんおっぱいを飲み始めれば、赤ちゃんは腕の中で寝ているようにしか見えません。 

次のようなアイデアを参考になさってください。
  • 服装は上下に分かれた洋服がいいでしょう。
  • たとえば、ゆったりとしたセーターやブラウスに、スカート、ジーンズ、スラックスを着ておくと、ボタンをはずさないでそのまま授乳できます。
  • ブラウスのボタンをはずすときには上からはずさずに、下からはずして上のほうは留めたままにしておいたほうが、ほかの人に気づかれにくいでしょう。
  • 毛布やバスタオル、ショールなどを肩から胸にかけ、赤ちゃんをすっぽり覆うと授乳していることは、まわりからわからないでしょう。(『だれでもできる母乳育児』35〜36、91〜92ページより抜粋)
  • 下に着るTシャツや肌着の胸の部分に2つ穴をあけておくと、授乳時に胸元が見えにくいですしお母さんが寒くありません。

(5) 母乳で育てているのですが、粉ミルクを断ってもかまわないのでしょうか? 

母乳でお子さんを育てているのに粉ミルクをすすめられるので、使うほうがいいのかしらと迷っていらっしゃるのですね。
母乳はいつでも完全無欠の栄養を赤ちゃんに与えます。さらに、母乳の中の感染防御因子が、非常事態で流行する可能性のある下痢や呼吸器感染から赤ちゃんを守ります。一方、安全な水や、湯をわかす燃料のない場所での粉ミルクの使用は、栄養不良、疾病、乳児死亡のリスクを高めます。母乳育児を続けることで、お母さんも子どもも慰められ、心の支えが得られます。  (WABA 2003パンフレット『「グローバル化」時代の母乳育児』3ページより抜粋)
どうぞ安心して母乳育児を続けてください。ただ、すすめられたものを断ることが悪いように思われるのですね。「ご親切にありがとうございます」などの言葉を添えて、母乳育児なので必要がないということを伝えてはいかがでしょうか。

(6) 乳頭をふくための清浄綿があまりありません。水でふいてもいいのでしょうか? 

授乳のために乳頭をふくことが必要だと思われているにもかかわらず、災害にあわれ清浄綿が手に入りにくくなり、ふくことができなくなりそうで不安に思っていらっしゃるのですね。このような状況下にもあっても、赤ちゃんのために最善のことを考えていらっしゃるのはすばらしいですね。
乳頭のまわりにあるモントゴメリー腺から、肌を保護し細菌の増殖を防ぐ分泌物が出ていますので、乳頭を清浄綿などでふく必要はありません。基本的には水でふく必要もありません。
シャワーを浴びる機会があったときに湯か水で洗えば十分です。石けんは、その自然の潤滑油を洗い流して乾燥させてしまいますから、使わないようにしましょう。手が洗えない状態で指が汚れているのが気になる場合でも、乳頭や乳輪さえさわらなければ、心配ありません。(『だれでもできる母乳育児』31、56〜57ページより抜粋)

(7) 乳房が張って痛いのですが、どうしたらいいのでしょうか? 

避難所生活をされていたり、あるいはご自宅にいらっしゃっても後片付けに追われていたりして思うように授乳ができず、乳房が張ってきて、痛みもあり、心配されているのですね。
このような状況下では、授乳に時間をかけることがなかなかできないため、授乳間隔があきすぎてしまったことが原因の1つになることがあります。
乳房に痛いところがある、赤くなっているところがある、しこって痛いところがあるなどの症状がある場合、乳管がつまって母乳が流れにくくなっていると考えられます。困難な状況が続き、疲れていらっしゃるのでしょう。働きすぎや疲れているサインですので、赤ちゃんと一緒に横になるようにして可能な限り休息を取ってください。

授乳する直前に可能であれば熱い蒸しタオルをあてたり、使い捨てカイロや熱湯を入れた小さいびんを使ったりして痛みやしこりのある部分を温めると効果的です。痛みやしこりのある部分が温かいうちにやさしくなでて、すぐに授乳してください。痛みのあるほうの乳房から赤ちゃんに飲ませます。つまっているほうに赤ちゃんのあごがくるような方向で飲ませてみましょう。

避難場所にいる場合はなかなかできないかもしれませんが、寝たままで飲ませる、床に座って飲ませる、フットボールのように脇に抱いて飲ませるなど、赤ちゃんの位置をいろいろ変えてみる方法もあります。そのときはお母さんと赤ちゃんの体が平行に向き合っているか、赤ちゃんが首をひねったり、頭を後ろにそらしたりして乳頭だけを吸うかたちになっていないか注意してください。乳輪の部分をできるだけ深く含ませると、全部の乳管から母乳を吸い出すことができます。     (『だれでもできる母乳育児』128〜130ページより抜粋) 
                        
張って痛いときはなるべくひんぱんに、少なくとも2時間ごとに授乳しましょう。おっぱい をどんどん飲んでもらうと、張りが楽になります。前述の乳管がつまっている場合の対処方 法と同様に、授乳の前に温かい蒸しタオルを当てて少ししぼると張りすぎが治まることもあります。楽になるようなら、授乳と授乳の間は氷のう(氷水を入れた袋)や冷却枕などで冷やしてもいいでしょう。タオルなどで巻いて、冷やしすぎないようにします。

乳房が張りすぎていると、赤ちゃんが適切に乳房に吸いつけないのでトラブルの原因となることがあります。最初に手か搾乳器でしぼって張りをやわらげておくといいかもしれません。(同53〜54ページより抜粋)

(8) 疲れて乳腺炎をおこしました。母乳はやめたほうがいいのでしょうか? 

被災されたあとの毎日はさぞかしたいへんなことでしょう。この状況下で疲れて乳腺炎にかかったのではないか、そのような母乳を飲ませ続けていいのかと心配なさっているのですね。
乳房に痛いところがある、赤くなっているところがある、しこって痛いところがある、などの症状がある場合、乳管がつまって母乳が流れにくくなっていると考えられます。この症状に加えて、発熱や流感のときに感じるような症状(疲労感・けん怠感など)があった場合は乳腺炎です。時には家族のだれかが風邪やインフルエンザにかかったときに、乳腺炎にかかる場合もあります。

乳腺炎だからといって、授乳をやめることはありません。乳腺炎にかかったらすぐに治療を始める必要があります。乳房を温める、可能な限り休息を取る、赤ちゃんにどんどんおっぱいを飲んでもらう。この原則をすぐ実行すると、特別に薬を飲まなくても乳腺炎は治る場合が多いです。(『だれでもできる母乳育児』128、131ページより抜粋)
(原則の詳細は「■7■乳房が張って痛いのですが、どうしたらいいのでしょうか?」の項をご覧ください)
蒸しタオルや温かいシャワーが使えないときは、「使い捨てカイロ」を使って乳房を温め、乳房が温かいうちに授乳するか搾乳しましょう。ただし、乳腺炎の後期には、すぐに授乳したり搾乳したりできないときに温めると悪化することもあるので、ひんぱんな授乳を心がけ、心配なときはすぐ医師に連絡を取りましょう。

24時間たっても熱が引かないときや具合がよくならないときは、医師の診察を受ける必要があります。薬の処方を受け飲み始めても、休息を取ることと、赤ちゃんにどんどん授乳することは続けてください。研究の結果、乳房をたびたび吸ってもらって循環をよくしたほうが治りやすいこと、乳腺炎にかかっているお母さんの母乳を飲んでも赤ちゃんには何ら害のないことがわかっています。 (同131ページより抜粋)

(9) 卒乳したと思っていた上の子どもが、急にまた飲みたがるようになりました。
     どのように対応したらいいのでしょうか? 


もう母乳を卒業したと思っていたお子さんがまたおっぱいを飲むようになって戸惑っておられるのですね。私たちの集いや電話相談でも「きょうだい同時期授乳」についての質問がよく聞かれますが、被災され不安になった上のお子さんがお母さんに安心を求めているのかもしれませんね。
よちよち歩きの子がおっぱいを飲むことにも、いろいろいいことがあります。たとえば、子どもが疲れすぎたり、むずがったりしているときに、おっぱいを飲ませるとすっと落ち着いて、眠ってくれます。けがをしたときなど、おっぱいに代わる慰めはありません。(『だれでもできる母乳育児』258ページより)
日常とは異なる今の生活の中で、上のお子さんもおっぱいで心が安らいでいるのかもしれませんね。お子さんが大きくなっても、おっぱいが必要なのであれば、お母さんがそれに応じようとすることは自然なことだと思います。

(10) 妊娠中です。授乳を続けていても大丈夫でしょうか?

次のお子さんを妊娠されたので授乳を続けても大丈夫かどうか、ご心配なのですね。おなかの赤ちゃんも今育てているお子さんも、どちらも大切に思うお気持ちが伝わってきます。

ラ・レーチェ・リーグの発行する『だれでもできる母乳育児』261ページでは、
  • 妊娠したからといって、すぐさま乳離れをさせる必要はありません」
  • 妊娠中の授乳は流産を招くのではないかという不安もあるでしょう。しかし、母乳育児が流産を引きおこすという確証はありません。
ということをお伝えしています。

ただし、以下の症状があるときには医学的な理由から妊娠中の授乳は困難です。
@乳頭を吸わせるとおなかに強い張りを感じる。
A出血している。
B早産の経験がある。
Cお母さん自身の体重が妊娠中に減ってきている。
    (ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル発行『BREASTFEEDING ANSWER BOOK』より)

妊娠中に授乳を続けるのがつらくなる場合もありますね。よく考えてみてそれでも妊娠中は授乳をやめたいと思われるのであれば、できるだけゆっくりと愛情をかけて乳離れさせていくという方法もあります。

(11) 母乳だけで育てたいと思っていたのですが、混合になってしまいました。
      私はもう母乳だけに戻すことはできないのでしょうか?


母乳だけで育てていたのに、災害で母乳が出なくなったように感じて混合栄養になっていることを悲しんでおられるのですね。母乳だけで育てたいという赤ちゃんへのあたたかいお気持ちが伝わってきます。今まで母乳を飲ませ続けてこられたあなたは、ほかのだれにもできない、かけがえのないことを赤ちゃんにされてきましたね。
このようなたいへんな状況であるにもかかわらず、何よりも大切なことはお母さんがずっとされてきた母と子のふれあい(マザリング)そのものです。被災され、難しい状況のときもあるかもしれませんが、リラックスすることが大切です。多くの場合はリラックスして赤ちゃんにどんどん吸わせれば母乳の量が増えていくものです。
(『だれでもできる母乳育児』153ページより抜粋)
今から母乳だけに戻す場合は、以下のことをします。
  1. 母乳がたりているかどうかの目安を確認します。
    (母乳がたりているかどうかの目安は「(3)赤ちゃんがよく泣きます。母乳がたりないのではと心配です」 を ご覧ください)
  2. 赤ちゃんが欲しがるたびに欲しがるだけ授乳します。
  3. 授乳の方法を振り返ります。
    • 赤ちゃんの上唇側の乳輪は見えているが、下唇側では乳輪がより深く入った状態で見えにくい。
    • 赤ちゃんの口は大きく開いている。
    • 下唇が内側に巻き込まれていない。
    • 時々休みながら、ゆっくり深く吸っている。
    • 赤ちゃんの体はまっすぐ。(曲がったり、ねじったりしていない)
    • 赤ちゃんの顔が乳房に正面から向き合っている。
    • 赤ちゃんの体はお母さんの体にぴったりくっついている。
    • 赤ちゃんの頭やおしりだけではなく全身が支えられている。
      (WABA2004パンフレット『生後6ヵ月間は母乳だけでOK!:安全、安心、持続可能なゴールド・スタンダード』6ページより抜粋)
  4. 1日にぬれるおむつの枚数を数えます。おむつが十分ぬれていて、うんちもたくさん出ている
    ようなら、思っているほど、たりないわけではないのかもしれません。その場合は、粉ミルク
    を急にやめないで徐々に減らしていき、どんどんおっぱいを吸わせましょう。
  5. 哺乳びんやおしゃぶりをやめます。おっぱいを十分吸わせてももっと欲しがるときは、コップ
    で粉ミルクをたします。災害のあと哺乳びんの消毒がむずかしいときは、特に、哺乳びんを使
    わずにすぐに洗える容器や使い捨ての容器を使ったほうがいいでしょう。
  6. 乳頭への刺激がたりないときは搾乳します。
  7. たくさんスキンシップを取って、赤ちゃんとできるだけゆったりと過ごせるようにしましょう。
今は日常と違って特別な状況下で生活をされているので、リラックスすることが難しいと感じられるかもしれませんね。リラックスの方法にはさまざまなものがあります。自分がいらいらしたり、緊張していたりするときは、1分でいいですから深呼吸してみましょう。軽く体操をしてもいいでしょう。緊張した筋肉がほぐれ、血液の循環もよくなりますよ。赤ちゃんと一緒に体操をするのも楽しいですね。天気がよければ、赤ちゃんと散歩してみましょう。(『だれでもできる母乳育児』89ページより抜粋)

中には非常にまれですが、さまざまな理由で母乳の量が赤ちゃんの必要とする量まで増えないお母さんもいます。原因が何であっても、母乳育児をまったくあきらめて粉ミルクだけにする必要はありません。粉ミルク、あるいは月齢が進んでからは離乳食を与えながら、母乳育児を続けることができます。

体重がなかなか増えないと心配になりますね。でも、あなたの母乳が、あなたの赤ちゃんにとって最高であることに変わりないのです。成長していく赤ちゃんを見守りながら、母乳育児を続けていけば、何ヵ月か先、何年か先にきっと深い満足感とともに誇らしく思う日がくることでしょう。 (同155ページより抜粋)

(12)  災害にあい一時的に、赤ちゃんと離れて暮らしていました。今は乳房はまったく張りませんし、しぼっても出ません。一緒にまた暮らせるようになったのですが、母乳育児に戻せるでしょうか?

赤ちゃんと一緒に暮らせるようになり、また母乳育児ができないかしらと希望を抱いていらっしゃるのですね。
母乳復帰の際には、基本的には赤ちゃんにひんぱんに授乳することがいちばん大切です。吸いつくのが難しいときは、手か搾乳器で3〜5分、両方の乳房を1日に数回しぼります。そして1日にしぼる回数を徐々に増やしていきます。はじめは数滴出るか出ないかの程度でしょうが、くじけずしんぼう強く続けていると2〜6週間で、母乳がつくられるようになります。赤ちゃんが直接吸いついて飲むようになれば、量も増えていきます。
しばらくは粉ミルクを飲ませる必要があると思いますが、まず最初に自分の乳頭に吸いつかせてから、できるだけ哺乳びんをやめてスプーン、コップなどで補足するようにしましょう。(『だれでもできる母乳育児』322ページより抜粋)
『だれでもできる母乳育児』150ページには、コップなどを使ってしぼった母乳や粉ミルクをたす方法が書かれています。

■参考資料 ■
  • 『だれでもできる母乳育児』 (ラ・レーチェ・リーグ・インターナショナル著 メディカ出版)
    ラ・レーチェ・リーグ日本 (http://www.llljapan.org/book/lllbook.html)、または書店でも購入できます。
  • WABAパンフレット(世界母乳育児行動連盟WABA著、母乳育児支援ネットワーク翻訳・発行)
  • 2003 『グローバル化」時代の母乳育児:平和と公正のために』 
  • 2004 『生後6ヵ月間は母乳だけでOK!:安全、安心、持続可能なゴールド スタンダード』 
    母乳育児支援ネットワーク (http://www.bonyuikuji.net/) で購入できます。
■ 無料の母乳育児相談 窓口 ■        
  • 問い合わせ(援助者向き):info@jalc-net.jp(日本ラクテーション・コンサルタント協会)
  • 問い合わせ(被災されたお母さん専用) : hisai_support@llljapan.org(ラ・レーチェ・リーグ日本)
  • 携帯サイトでの情報 : http://www.bonyuikuji.net/i/

■ 災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会について ■ 

「災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会」は、母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)、ラ・レーチェ・リーグ(LLL)日本、NPO法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会の3つのNGO団体が共同で運営しています。

ラ・レーチェ・リーグ(LLL)日本
母乳で育てたいお母さんのための集いを開き、相談活動などをおこなっている、母親によるボランティア団体です。世界66ヵ国に活動グループがあります。(http://www.llljapan.org/)
母乳育児支援ネットワーク(BSNJapan)
ユニセフや国連の協議団体であるWABA(世界母乳育児行動連盟)やIBFAN(乳児用食品国際ネットワーク)といった団体と連携をとって広く母乳育児に関する情報の提供などをおこなっています。(http://www.bonyuikuji.net/)
NPO法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC)
母乳育児援助のための専門的な知識と技術を持つ「国際認定ラクテーション・コンサルタント(IBCLC)」が運営している、母乳育児支援にかかわる専門職のための団体です。(https://jalc-net.jp/) 
   
■ 作成:災害時の母と子の育児支援 共同特別委員会 ■
  
ラ・レーチェ・リーグ(LLL)日本
母乳育児支援ネットワーク(BSN Japan)
NPO法人 日本ラクテーション・コンサルタント協会 (JALC)