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Japanese Association of Lactation Consultants

母乳育児Q&AQ AND A

12.搾乳時間

今まで母乳を搾ったことがないのですが、どのようにしたらよいでしょうか。
 搾乳には2種類の方法があります。1つは手を使う方法、もう1つは搾乳器を使う方法です。
それぞれについてもう少し詳しく説明していきます。

(1) 手による搾乳

  手による搾乳は、母乳を受ける清潔な容器(きれいに洗ってあれば問題はありません。消毒液で消毒する必要もありません)さえあればいつでもできる簡単で、便利な方法です。また電動搾乳器を使用する場合でも、使用前に手による搾乳を行うと射乳反射*1)が促されます。さらに搾乳器の使用後にも手による搾乳行うことで、分泌をよくする2)といわれています。

* 射乳反射;母乳を作る場所(乳腺)は、小さなブドウの房のようになっていて、一個のブドウにあたる部分を腺房、ブドウをつなげている茎にあたるところは乳管といいます。腺房でつくられた母乳が乳管の中に押し出されます。これはオキシトシンというホルモンが脳から出てきて、腺房をぎゅっと収縮させるという作用によるものです。

 手による搾乳の方法はいろいろあります3、4)が、ここでは、UNICEF/WHOの『赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド ベーシック・コース』で提案されている次のような手順をご説明します。
  1. 母乳を出やすくします。:楽な姿勢でリラックスしたり、赤ちゃんのことを思ったり、赤ちゃんを見たりすることで射乳反射が起き、母乳が出やすくなります。
  2. 乳管を見つけます:乳輪の境目の近くで、乳頭から親指ひと関節分あたり(人によって個人差があります)をそっと触り、ほかの場所と違う(紐の結び目や豆が並んでいるようだと表現される方もいらっしゃいます)ところを探します。見つけたら、親指と人差し指で、乳管をはさみ、ほかの指やもう一方の手で乳房を支えます。
  3. 乳管の上から圧迫して搾乳します:見つけた乳管を親指と人差し指で挟むようにして、圧迫します。このとき、乳首を挟んだり、しごいたり、つぶすような方向に圧をかけず、胸壁(肋骨方向)に向かって押すように圧迫します。圧をかけたり、緩めたりを繰り返すうちに、乳汁が出てきます。
  4. 乳房のあらゆる部分から繰り返し搾ります:母乳の流れがゆっくりになったら、圧迫している指を乳輪の境目のあたりのほかのところへも移動して、圧をかけたり緩めたりを繰り返します。両方の乳房から搾乳する場合は、母乳の流れが止まったら、もう一方の乳房を同じように搾乳します。 
基本的には、どのような方法で搾乳を行っていても楽に十分搾ることができていれば、その方法を変える必要はありません。手による搾乳をするときは、広口のガラスビンやボウル、お椀などご自身の使い勝手のいい清潔な容器を使うことができます。

(2) 搾乳器による搾乳2, 5)

 搾乳器にはいろいろな種類があります。
  1. 手動搾乳器:手を使って動かす搾乳器のことです。母乳の出がよくなってからは、手動搾乳器で短時間に簡単に搾れるという方もいます。一方、手で搾るのとあまり差がないという方もいます。比較的安価で手に入りやすいのですが、搾乳器の種類やあなたの乳房の状況によっては、使いにくい、効果的に搾れないなど使い勝手が悪かったり、乳房を痛めたりする場合もありますので、注意が必要です。
  2. 電動搾乳器:電動搾乳器とは、モーターによる吸引圧で搾乳を行う搾乳器のことです。電池式の安価なものから、大型の高性能なもの(レンタルすることができます)まであります。
    手による搾乳ではうまく搾乳できない場合や、1ヵ月以上の長期間にわたり搾乳を続ける場合は、高性能の電動タイプの搾乳器を使うと、搾乳の負担が軽減されると感じる方も多いようです。母子分離の場合に多くの専門家が高性能の電動搾乳器を勧める理由は、効率よく、快適に搾乳できるからです2)。適切に使用すれば、乳房の痛みをおこしたり、傷をつくったりすることはないといわれています。
 どの方法を選択するにしても、あなたが快適に使用できることが大切です。搾乳器は可能な限り試用してみてからレンタルや、購入を考えるようにできるといいかもしれませんね。試用させてくれる施設もありますので聞いてみてもいいかもしれません。

搾乳時間と回数

 搾乳に必要な時間は、搾乳する理由によって違います4)。乳輪を柔らかくして赤ちゃんが吸いつきやすいようにするための搾乳であれば、閉塞がとれるまで続けることが必要になります。また、作られる母乳の量を増やすための搾乳であれば、夜間も1回搾乳することも含めて1日にに少なくとも6回以上、1回に20分程度の搾乳をし、搾乳にかかる時間は24時間に少なくとも100分になるようにするとよい、といわれています。

 お母さんが仕事に復帰されて、仕事中に搾乳するときには、赤ちゃんのほしがる量と、乳汁の出方によって搾乳する量が決まるので、個人差があるといわれています。
 赤ちゃんが小さく生まれた場合、搾乳回数は母乳分泌確立時期(出産後2週間ごろまで)には、8-10回、確立後で6-7回必要です。搾乳の間隔を6時間以上あけないことで、母乳の分泌量が減らないといわれています。2)

 赤ちゃんはお母さんが絞ってくれた母乳を飲むことができてきっと喜んでいますね。搾乳にはいろいろな方法や、目的がありますので、いろいろと試してみてあなたの目的にあったやり方や回数を見つけることができて、楽しく、楽に搾乳が続けられるといいですね。

【参考文献】
  1. 水野克己監修 本郷寛子・水野紀子・瀬尾智子共編著:これでナットク 母乳育児,へるす出版, p63, 2009
  2. 大山牧子:NICUスタッフのための母乳育児支援ハンドブック 第2版, p67-73,メディカ出版, 2010
  3. Marmet C. ラ・レーチェ・リーグ日本訳:母乳のしぼり方:手を使って. 大阪. ラ・レーチェ・リーグ日本. 2004
    (この文献はラ・レーチェ・リーグのサイト http://www.llljapan.org/ から購入することができます)
  4. UNICEF/WHO BFHI2009翻訳編集委員会:赤ちゃんとお母さんにやさしい母乳育児支援ガイド
    ベーシック・コース「母乳育児成功のための10か条」の実践, p223-233, 医学書院. 2009
  5. 涌谷桐子編:ペリネイタルケア2009年夏季増刊 すれ違いコミュニケーションをなくそう!すぐ使える!70の事例から学ぶ母乳育児支援ブック「36搾乳方法」, p195-199, メディカ出版, 2009
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